マルチイオンイメージセンサ

pHイメージセンサを使用して、Na+やK+などのイオンに応答するイメージセンサを開発しています。

これまでのCCDイメージセンサでは、単一イオンのみを選択的に応答させるセンサしか作製されていませんでした。

例えば、微小な材料の中ではNa+とK+のイオンの動きをとらえる場合、単一イオンイメージセンサでは、Na+やK+を別々にしていました。

一方、Na+とK+のマルチイメージセンサになればNa+やK+の動きを同時にとらえることができます。

そのため、センシングエリアの微細な領域を塗り分けることができるインクジェット法を用いて膜溶液を塗布することによってマルチイオンイメージセンサの開発を行っています。

CCD型ATPイメージセンサ

ATP分布をイメージング可能なCCD型ATPイメージセンサを開発しています。

本センサはCCD型pHイメージセンサとATP加水分解酵素(Apyrase)から構成されています。

ATPの加水分解で放出されるリン酸によるpH変化をCCD型pHイメージセンサで検出することで、ATP分布がイメージングできます。

本センサを使うと、生体組織のATPイメージングへの応用が期待できます。

電気化学的手法によるCa2+局所微量放出デバイス

細胞を化学物質で刺激して生命活動を探ることは生物学の分野で有用な方法であり、盛んに研究が行われています。

従来、細胞への化学物質による局所刺激は、マイクロピペットによる体積増加法が主流でした。

しかしながら、この方法では必然的に体積変化および細胞の移動が発生します。

また、刺激物質以外の添加も伴うため、それらが刺激となる恐れもあります。

本研究では、電気化学の観点から体積変化を伴わないで刺激物質のみを局所に放出する新規デバイスの研究・作製を行っています。

可塑化PVC膜を被覆した導電性高分子電極によるアセチルコリンの放出
電気化学デバイス

電電圧制御により神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh+) を局所的に放出可能な電気化学デバイスの開発を行っています。

細胞などの生体の動的観察を行う際、細胞の刺激物質を微小領域に局所的に添加することが求められます。

このデバイスは金電極表面に導電性高分子であるPEDOTの膜を形成し、その上からACh+塩を含む可塑化PVC膜を被覆した構造となっています。

これに電圧を印加すると、PEDOTが酸化されて正に帯電するので、これに伴ってACh+が電極表面から放出されます。

発蛍光型フェニル尿素系農薬認識分子の合成

除草剤や成長促進剤として使われているフェニル系尿素農薬の簡便かつ安価な測定方法を開発しています。

尿素基はカルボキシル基と水素結合を行うため、カルボキシル基に蛍光団を結合した蛍光色素カルボンアニオンにより、フェニル系農薬を蛍光分析することにより測定を行うことができます。

アニオンセンサ分子を導入した高分子ナノファイバー

アニオンは、医療、環境、食品などの分野で重要な役割を果たしています。

これを、迅速かつ簡便に測定することは重要であります。

ナノファイバーは膨大な比表面積、高強度、軽量といった特徴があります。

そこで、本研究ではアニオンセンサーをナノファイバーに組み込んだ新規アニオンセンシングデバイスを開発し、その機能を評価しました。

顕微鏡観察より、ナノファイバーは均一な太さであることを確認しました。

各アニオンの溶液をナノファイバー上に滴下したところ、ナノファイバーの吸収スペクトルが濃度増加に伴う長波長シフトを確認しました。

この変化はナノファイバー中にあるアニオンセンサーのチオ尿素と各アニオンが水素結合した結果生じたと考えられます。

これより、メタノール中のアニオンを水素結合によりセンシングすることができます。